ご飯つぶを残すのはマナー違反と思う人が多い

誰しも子どもの頃にお茶碗にご飯つぶを残したままで御馳走様をすると、親や祖父母から「きれいに食べなかったら目がつぶれてしまうよ。」と言われた経験があるのではないでしょうか。
「目がつぶれる」という極端な表現はされなかったとしても、「お米を作っている農家さんに失礼だから、きれいに食べようね。」とか「お米には神様が宿っているんだよ。」と言われことはあるのではないでしょうか。

ご飯つぶを残さなくなった理由

現在、幼稚園や小学校の給食の場面では、お米つぶを残さずピカピカのお皿を目指そうと指導する教育現場が多いです。
それは、古くから食べ物を大切にしてきた日本人の教えを受け継いでいると言えるかもしれません。

しかし、何よりも第二次世界大戦後に日本全体が慢性的な食料不足になったことが大きく影響していると言われています。
第二次世界大戦後はどこもかしこも食料が不足しているのに、ベビーブームが重なって誰しもがお腹を空かせていました。
少ない食料を家族で分け合い、時には喧嘩して奪い合ったこともあると聞きます。

その後、日本は復興を遂げ、高度経済成長期に突入ていきます。
高度経済成長を経て戦後とは比較できないほど豊かになった日本ですが、戦後の食料不足で苦しんだ時代を知らない子どもたちが平気で食べ物を残すようになりました。
戦後の過酷さを知っている大人は、「子どもたちに食べ物の大切さを伝えなくてはならない」と教育に力を入れます。

そこで、日本政府としても子どもたちが集まる学校現場において、食べ物を大切にする指導をするように指示を出したと言われています。
素直な子どもたちは、学校での指導を給食だけでなく家での食事でも守るようになります。
心の中に「ご飯つぶを残してはいけない」、「食べ物は大切にしなければいけない」という教えがしっかりと刻み込まれ、子どもたちが大人になった時には、彼らの子どもたちにその教えを受け継いでいったのです。

日本は食料の大部分を外国からの輸入品に依存している国内自給率が低い国です。
そのため、現在スーパーに行けば食べ物で溢れかえっていますが、外国との関係性が維持できなくなれば食べることができなくなる食べ物は驚くほどたくさんあります。

また、食品廃棄率が高いことも問題となっています。
コンビニなどの賞味期限が切れた食べ物は有無を言わさず廃棄されますし、一般家庭でも食べ切れずに捨ててしまう食料はとても多いです。
お米つぶを残すことはマナー違反であると受け継がれている日本人なのに、現状としては食べ物を大切にすることができているとはとてもじゃありませんが言えない状況です。
一人ひとりがもう一度どうしたら食べ物を大切にできるのかを考える機会なのかもしれません。

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